鼈甲色貝埋込蒔絵 秋草鶏図硯箱
(べっこういろがいうめこみまきえ あきくさににわとりずすずりばこ)
(伝)芝山専蔵 しばやませんぞう 鼈甲色貝埋込蒔絵 秋草鶏図硯箱 べっこういろがいうめこみまきえ あきくさににわとりずすずりばこ 明治時代 |
芝山象嵌は、江戸後期に下総の芝山専蔵が始めたと云う。貝や牙骨などを嵌め込み、素材が持つ肌合いや色調で、花鳥・人物などを立体的で華麗に表現した。維新後、繊細美溢れる独自の技法が外国から高く評価され、横浜に工房を構えて海外の注文を受けた。1893年、シカゴ万博で入賞を果たし、明治・大正の隆盛期を向かえた。 蓋表には、雛を連れた番(つがい)の鶏。褐色の羽毛は鼈甲を彫り、一部に貝を刻んだ白羽を組み合わす。前後に繁る草花は、朝顔では青や緑、葉鶏頭では赤や黄の色貝で色味を的確に写す。吸い込まれる様な深い艶の黒塗りに、螺鈿が映えて鮮やか。蓋裏・身底は連続し、山村の農家の茅屋を表す。軒先に蓑を掛け、鍬を置く念入りな描写。 |
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